2代目 山田常山
3代目 山田常山(人間国宝)

 しぼ  だ        きゅうす
◇絞り淹し(絞り出し)急須とは

”茶葉本来の旨味や香りをゆっくりと何杯でも楽しめるお茶”を、どなたでも手軽に
体験できる至高の急須です。

 
但し、名の通りお茶を”絞り出す”のではなく、”滴(しずく)”のように茶碗に
注ぎます。

 
お茶を美味しく淹すには、茶葉に負担を掛けてはなりません。
網や袋で抑えつけないで下さい。
揺すったり、振ったりしないで下さい。
茶葉は、そっと自然の状態に戻りたいのです。
そうすれば、茶葉は自然と貴方に応えてくれます。

 
絞り淹し急須の外観は、一見すると単純な構造に見受けられますが、高度な技術を
必要とします。

 
似た物に”泡瓶・宝瓶(ほうひん)”と呼ばれる茶漉し部分の付いた(もしくは
胴体に穴を開けた)急須が存在しますが、全く別物です。
これらは一般急須より作陶し易いのです。

 
小生は人間国宝の山田常山氏(三代)から、『急須より難しいが、美味しくなる』と
言われました。
確かにこれほど、お茶を美味しくする原理原則が整っている形は他に有りません。
これは、上質な茶葉を少しの量で美味しく味わう機能を、最も備えた急須なのです。

 
茶葉が急須の内部で、自然の状態に戻ります。
古来より、無類の茶好きが愛用してきましたが、時代とともに一部の好事家のものに
なっていました。

 
此の度、さらに機能と形が洗練されて復活しました。
美味しいお茶を飲みたい方にとって最良の友となります。

 
但し、当方が自信を持って勧める絞り淹し作家は大変少なく、故常山氏を含め現在4人。
 
今回は、その中から先ず3人を紹介し、お奨め致します。
(残念ながら、故常山氏の絞り淹しは扱っておりません)

 
使い込む程、美しくなりますので、ご本人のみならず何代も使い続けて戴きたく存じます。
 
また、全て手作りの為、色・形に若干の違いを生じる点はご了解願います。

※慣例として「搾り淹し・搾り出し」の字を当てません。

                        道盅庵 店主