えんがわさぼう
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(む)
無(空っぽではない。無にすれば多くを取り込める)

この時期、茶の樹は晩秋からの長い休眠より目覚める準備に
入っている。

植物からみると、茶は椿や山茶花(サザンカ)の仲間であるが、 カフェインやアミノ酸(旨味)は、茶独特のものだ。因みに、 植物学として茶を云う場合は“チャ”と記す慣習がある。

現在の定説では、中国の雲南省の南端で、ミャンマーやラオス との国境に近い辺りが、茶のルーツと云われている。日本には 茶樹が自生していたのか伝来したのか近年まで論争が続いてい たが、4,000年前の地層からチャの化石が見つかった。然し、 飲用や食用とされていたかは不明。これらの自生に加え大陸 (中国)から持ち込まれたチャが、遺伝子的に現在の我々が 飲んでいる茶とされている。

帰国した最澄・空海・栄西などの留学僧が種子を持ち込んでか ら、喫茶が広まったらしいのだが、それまでは茶を飲んでいな いのか?恐らく仏教伝来と共に飲み始めたはずだ。勿論、本当 のところは判らない。けれども茶でなければ何を飲んでいたの
だろうか。それは“水”が主な飲料だと思う。日本が北半球に在り、自転から生ずる偏西風のお蔭で日本海などの水分を
たっぷり吸った雲が、火山岩で造られた日本の高い山脈に当たり雨を降らす。更に、山の木々や苔が水分をゆっくりと
地面に浸み込ませ、時間を掛けて湧き水として溢れ出す。知多半島でも大体10メートルも掘れば井戸水が得られる。
(云うまでも無く、愛知用水の通水は素晴らしい貢献で感謝したい。)清浄な水は、それだけで美味な飲料だと思う。
美味しい水は高価だが、混ぜ物をした清涼飲料水の原価は僅かで、水道水を濾過すれば十分だ。だから飲料メーカーは
食べていける。

次回は、中国から日本へ伝わった理由を含め、徐々に深蒸し茶の本当の姿に迫っていこう。