我々は、茶に何も混ぜずに飲む。至極当然に思うかも知れな
い。が、海外で混ぜ物の無い茶を探す苦労をされた方も少なく
ないのではないか?
世界中で最も消費量が多く、最も新しく生まれた茶である紅
茶でさえも、そのまま(何も混入しない)で、飲む人口は少ない
。ここ10年位、旅先の中国や東南アジアで買い求められたペ
ットボトルの茶を、初めて飲んだ時に、その甘さに驚かれた方
もいらっしゃるのでは?
何のことは無い。日本人が茶に何も混ぜずに飲む珍しい民族
なのだ。
医食同源の発信国、中国では冷たい茶を飲む習慣は無かった
。理由は前回記した通りで、茶樹の原産地が南国だからだ。南
国出身の食物は身体を冷やす。原理は単純で、例えるならば、
麻が涼しい理由は何故か考えてみよう。絹だって蚕を守る
“揺籃(ゆりかご)”の素材であって、決して人間の着物にな
るとは思わなかっただろう。要するに、求められている細胞の
構造が根本から違うという理屈だ。
話を元に戻そう。実際に我々は茶に何も混ぜずに飲んでいる
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