えんがわさぼう
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(あやま) (あらた)       (これ)   (あやま)     (い)
過ちて改めざる、是を“過ち”と謂う。(人ならばこそ誰でも過ちを犯すもの。
然し、その過ちを自ら改める努力が大切。)

 前回、輸出の為にチャの品種化が進んだと記したが、そうしている間に、お
茶が一番の飲料だった日本人は戦後を迎え、他の飲料を知り、それらが広まっ
た。お茶を飲む割合が減ってきたところに、茶農家の機械化は進み、作業効率
を優先し、そして収穫量を確保する為に蒲鉾状にされてしまった表面積の大き
な樹形は、本来の茶の木の姿からは掛け離れた不自然な姿になってしまった。
それらを畝にして機械で何度も沢山刈り取る。その機械は急峻な山地では使え
ない。だから楽に作業をする為に平地に植える。当然、平地に茶葉を持って来
れば、虫が放っておく筈が無い。軟らかい新芽が出たなら、常に農薬を散布し
なければ食べられてしまう。茶農家は大量の農薬を必要とする。何故なら瑞々
しい葉は、米のように籾殻に守られる事は無いから。そして葉物野菜のように
、食べる時には外側を捨てたり、根菜のように洗われたり、表面を削られる事
も無い。何と言っても茶の成分は水溶性なので、当然一度も洗うこと無く、蒸
して揉んで乾燥されて店頭に並び、人々の口へ運ばれる。それを、わざわざポ
ットの熱湯で抽出する場合が大半だ。特に番茶は、春先から夏過ぎ迄の長い期
間の農薬を全て蓄積しているかも知れないのだ。カフェインが少ないからとい
って、お年寄りや子供に勧められたのは昔の晩茶だ。(決して番茶ではない)
 特に女性には分かり易いかも知れない。樹は母親で幹は1本、葉は子供。で
は、どんな茶葉が美味しいのか。母親に負担を掛けず、実のある子供を育てる
にはどうすれば? 想像に難くないだろう。
 茶作りは斜陽産業なので、農地を新たに植え替える数年の間、畑を空けてお
く余裕は無い。仕方ないから土地に化学肥料を大量投与して年寄りの樹を無理
矢理働かせる事になる。植物なので口答えしないが、100歳近いお婆ちゃん
に毎年五つ子を産めと言っても…。
 チャも生き物なので植物として美味しい年代がある。一般に30〜40年で改植
(植え替える事)するのが理想。
 先述の通り、植物は種子から育てると、そ
の土地に合った丈夫な遺伝子が選ばれて発芽
する。病気にも寒さにも虫にも強い木になる
。それは肥料も農薬も本来は不要だ。
 多収穫を求め品種化した挿し木だから弱く
、肥料と農薬を与える。堂々巡りだ。