えんがわさぼう
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(きっさ こ)
喫茶去(まぁ、茶でも飲みなさい。自分自身と向き合って)

「最近のお茶は不味くなった。」と随分昔に他界した両方の
祖父らは言っていた。共に戦争経験者で在った事を鑑みれば、
戦前の茶は美味しかったと云う意味に他ならない。
では、大戦前後の茶の差異とは何か?それをお話しする前に、 是非とも日本茶の現状について語りたい。
 
最近は、『緑茶』と表現される日本茶だが“団塊の世代”より
年長者には、違和感を持つ方も居るのではないか?
そう、昭和40年代後半に突如として現れた『深蒸し茶』だ。
“緑”茶の意図する如く緑色の液体が茶碗に注がれる。
この茶葉は粉が多く急須の茶漉し部分が目詰まりする為、
登場して間も無く茶漉し部分が金網に変わったりもした。
それから40年近く、店頭では殆ど深蒸し茶が棚を占めて
いる。確かに濃いので少量でも飲んだ気はするのだが・・・。
深蒸し茶は、字の如く“深く蒸す”という意味だ。
その”深く“とは何か?
 
それは”長時間蒸す“を示している。
標準の”適(てき)蒸し“よりは長く時間を必要としている
ので、まるで手間を掛けたように見せかけた分、高級感を
演出し価格にも反映させているようだ。
では、それらの深蒸し茶が、果たして祖父らの云う美味しい茶より、更に美味しいものだとは、いくら煎を重ねても私見
ながら到底首肯出来ないのだ。
因みに茶の来歴については諸説在るが、本来、茶は漢方薬と考えて差し支えない。尚、本文は茶の専門書を目指している
訳ではないので詳細を学びたい諸兄は専門書を御覧願おう。
 
茶の生まれは、南国で食物として、次に中国に薬として伝わった。近年、一部が映画化された小説『三国志演義』を
読まれた諸兄には、如何に茶が高価な物と表現されていたか思い出して頂きたい。
元来、食あたり・頭痛等の薬であり一部の上層階級による特別な管理下に置かれていたが、時代と共に庶民に拡がって
行った。
ご存知の通り、中国では澄んだ飲み水の確保が容易でない。筆者が旅した20数年前でも同様だった。河川は言うまでも
なく、井戸から汲み上げた後、暫く溜めて沈殿物を落ち着かせてから飲む状態なので、当然“茶でも”混ぜなければ
とても…となる。
それが水の澄んだ日本に何故伝わったのか? また、深蒸し茶が急伸した理由は? 次回、考察したい。
尚、冒頭の茶の花や種は、一般の茶園では見られません(念の為)。